宝塚歌劇宙組『アナスタシア』と映画『アナスタシア』比較してみた

宝塚歌劇

こんにちは。観劇三昧OLです。

1都3県、緊急事態宣言が出てしまいましたね…。

アナスタシアも18:00→15:30に変更となり、観に行けない方も増えたのではないでしょうか…。

私も2020年はいくつもチケットが消えてしまい、とてもつらかったです。

幸い、配信や円盤発売もあるので、観たい人みんなにアナスタシアという素敵な作品が届きますように。

さて、本日はそんな宙組さんの公演『アナスタシア』を映画『アナスタシア』とゆるーく比較してみた記事になります。

なんでそこ変えたの??って疑問が出てくる部分もあるかと思いますので、ぜひ皆さんも考察しながら読んでみてくださいね!

それでは

レッツゴー!

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はじめに

宙組アナスタシアのあらすじ、キャスト、その他オタクの叫びはこちらからどうぞ。

映画の筋も大きくは変わらないのでお話知らなくてネタバレOKな方はあらすじだけでも読んでみてくださいな。

アナスタシアと言えばBW版はもちろん、2020年3月ごろから東宝でも上演してましたよね!私もチケット確保してましたが、コロナによる中止で結局見れずじまい…。

なので本記事においては全て宝塚宙組版が比較対象となります。

「いやいやその演出BWからだよ~」「東宝もやってたよ~」

と、いろいろ思う方もいるかもしれませんが、

今回は私が観た

「宙組版」

を基準に比較していきますのでよろしくお願いします。

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登場人物

宙組版と映画版の登場人物で大きく違うのは

宙組にはラスプーチンがいない

これだと思います。

宙組のラスプーチンといえば「神々の土地」の愛ちゃんだよね…。

いや懐かしいな…星組行っちゃったな…ティボルト楽しみ…。

いやいやそんなこと置いといて。笑

宙組版の悪役ポジションは芹香さん扮するグレヴが担っていますが、

映画版での悪役ポジションはラスプーチンとラスプーチンの使い魔(?)バルトークが担っています。

この2人がいないことにより、宙組版と映画版では物語の展開が大きく変わっていきます。

この2人がいると、舞台上でやるには少々めんどくさい展開(後述)になってしまうので、思い切って変えた方がすっきりして良かったです。

また、映画版では「なぜラスプーチンはロマノフ一家を恨んでいるのか」について深く言及されておらず、ロシアの歴史を知らないと話についていけない可能性があります。

宙組版でも、革命が話の大筋ではないので「なぜ革命が起きたのか」までは言及されていませんが、「革命軍vs王朝」はイメージが付きやすい敵対関係なので、演出的にも話の大筋を明快にするためにも、宙組版ではラスプーチンの出番はありませんでした。

物語

物語での変更点は大きく2つ、「魔法の有無」、「ディミトリとの出会い」です。

ひとつずつ見ていきましょう。

魔法の有無

先ほど述べた「ラスプーチンがいない」影響で、宙組版には

魔法が登場しません。

魔法出てくると演出大変だしね…。

魔法が登場しないことにより、

・アナスタシアが家族を失ったきっかけ
・パリへ向かう機関車を降りた理由
・ディミトリがアナスタシアを救う場面

が主に変更となっています。

順番に見ていきましょう!

アナスタシアが家族を失ったきっかけ

映画の冒頭シーンは1916年。

ロマノフ家が国を治めて300年のお祝いの舞踏会に、宮廷を追い出されたはずのラスプーチンが乗り込んできます。

暗黒の力を手に入れたラスプーチンは、魔法の力で民衆(ボリシェヴィキ?)を扇動し、ロマノフ一家を惨殺しました。

アナスタシアが家族を失ったきっかけは、ラスプーチンにあったのです。

一方、宙組版の冒頭シーンは1906年。舞踏会のダンスシーンで一気に少女アナスタシア(天彩峰里)→アナスタシア(星風まどか)に入れ替わり、場面は1917年のボリシェヴィキに襲撃を受けるシーンへと繋がります。

ボリシェヴィキたちは自らの意思でロマノフ一家を死に至らしめました。

パリへ向かう機関車を降りた理由

映画版では、パスポートの文字が青→赤に変更されていたことを知らずに機関車に乗ってしまい、一行は荷物置き場へと身を潜めます。

そこでラスプーチンの魔法が登場。

機関車が火事になり、すんでのところで一行は飛び降りて助かります。

一方、宙組版では列車に乗る前にイポリトフ伯爵という、パリへ亡命を図るロシア貴族に出会います。

列車が動き始めてしばらくすると、車内で銃声が―。

イポリトフ伯爵は秘密警察に暗殺され、一行は自分たちも追われていることを知ります。

見つかってしまう前に逃げようと、一行は列車から飛び降り、徒歩でパリへと向かいました。

どちらも危機回避の為に列車を飛び降りましたが、映画版は魔法、宙組版はボリシェヴィキの手から逃れるためでした。

ディミトリがアナスタシアを救う場面

映画ではディミトリがアナスタシアを救う場面が2回あります。

1回目はドイツから船でパリへ向かう途中、ラスプーチンの魔法に操られたアナスタシアが、家族の夢を見ながら海へ飛び降りようとするのをディミトリが必死で止める場面です。

2回目は映画終盤、ラスプーチンが復讐を遂げようとアナスタシアに魔法の力で攻撃する場面です。

2つともディミトリの男らしさや、愛する人を助けたいという思いが分かりやすく表現されている場面になります。

一方、宙組版には似たようなシーンがあるものの、ディミトリが男らしく助ける、という表現はされていません。

映画版1回目に似たシーンでいくと、2幕第6場「ホテル アーニャの部屋」で悪夢にうなされていたアナスタシアをディミトリが宥める場面があります。

ここでのディミトリはあくまでアナスタシアを元気づける言葉をかけるだけで、映画版のように物理的な危機から救うわけではありません。またこの場面のメインは、ディミトリが昔見たアナスタシアの思い出話と「In a Cloud of Thousands」を歌うところにあり、決してアナスタシアを助けることが目的の場面ではありません。

映画版2回目に似たシーンでいくと、2幕第12場「ホテルの控え室」でグレヴが自分の父親の残した仕事を遂行しようとアナスタシアに銃を向けるシーンがあります。

ここではディミトリは登場せず、グレヴは自分の意志でアナスタシアを殺すことを辞めてしまいます。

惹かれた人を殺すことはできないグレヴの愛の深さに切なくなる場面ですが、革命にロマノフ一家の惨殺は必要だったのか、グレヴ自身にも葛藤があったのかもしれません。

映画版では、アナスタシアたちに降りかかる災難はすべて「魔法のせい」、もう少し深堀すると、ラスプーチンの逆恨みが全ての災難の根源になっています。

宙組版ではラスプーチンを排除したことにより、誰か1人の意思が世界に作用するのではなく、抑圧された人々の意思が革命に繋がり、アナスタシアの人生に作用すること、

そして、敵対関係として描かれるグレヴがアナスタシアに惹かれる、そして殺すことをやめてしまうことにより、ロマノフ一家惨殺の正当性、革命における「犠牲」を問いかける作品に昇華しました。

ディミトリとの出会い

2つ目の大きな違いはディミトリとの出会い方です。

映画版でのディミトリ(幼少期)は召使の少年です。

普段から宮殿に出入りしていた彼は、アナスタシアと皇太后を壁の通路に導き、ボリシェヴィキから逃がしました。

一方、宙組版では、パレードの最中ディミトリがアナスタシアの名前を呼ぶと、たくさんの人の中からその声に気付き、アナスタシアは彼に微笑みディミトリは生まれて初めてお辞儀をするという出会い方です。

宙組版の方が、THE・運命の出会いって感じがしますね!

どうして宙組版はディミトリ少年を召使の設定にしなかったんでしょう?

ここは考察の余地がありそうですね。

今回はゆるく楽しく比較なので次に進みます!笑

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楽曲

約1時間半の映画を休憩含む3時間のミュージカルにするだけあり、映画版には無かった曲が25曲追加されています。

☆は追加された曲です。

1幕

  1. Once Upon A December
  2. A Rumor In St.Petersburg
  3. She Walks In☆
  4. In My Dreams☆
  5. The Rumors Never End☆
  6. Learn To Do It
  7. Nevsky Prospect☆
  8. The Neva Flows☆
  9. The Neva Flows(Reprise1)☆
  10. The Neva Flows(Reprise2)☆
  11. My Petersburg☆
  12. Once Upon A December(Ensemble)
  13. Stay,I Pray You☆
  14. We’ll Go From There☆
  15. Traveling Sequence / Stll☆
  16. Journey To The Past

2幕

  1. Paris Holds The Key(To Your Heart)
  2. Paris Holds The Key(Reprise)
  3. Close The Door☆
  4. Land Of Yesterday☆
  5. The Countess And The Common Man☆
  6. Reprises; “The Countess And The Common Man” and “Land Of Yesterday”☆
  7. A Nightmare☆
  8. In A Crowd Of Thousands☆
  9. A Triving At The Ballei ☆/ Meant To Be
  10. Quartet At The Ballet☆
  11. Everything To Win☆
  12. Once Upon A December(Reprise)
  13. She Walks In(Reprise)☆
  14. The Press Conference☆
  15. Everything To Win(Reprise)☆
  16. Still(Reprise)☆
  17. The Neva Flows(Reprise)☆
  18. Once Upon A December(Reprise)

2幕は特に新曲が多いですね…!

歌詞や楽曲挿入部分についての比較、考察は

CD発売後にチャレンジしようと思います!

細かい設定

本編にどう関わっているか分かりませんが、地味に変わっているところが多々あるので紹介していきます。

●襲撃された日の皇太后

映画版→まだロシアにいてアナスタシアと逃げる
宙組版→既にパリに行っており襲撃は受けない

●アナスタシアが皇太后を呼ぶ時の名前

映画版→「おばあさま」
宙組版→「ナナ」
(「あの子はおばあさまなんて言わなかった」と否定するシーンあり)

史実がこんな感じなんですか…ね?

●皇太后の香り

映画版→ペパーミントの香り
宙組版→オレンジの香り

●オルゴール問題

映画版→アナスタシアは小さい頃から鍵を持っている
宙組版→なぜかアナスタシアだけ蓋を開けられる

これは映画版の方が現実的で良いですね…

●ディミトリたちの計画がアナスタシアに知られる時

映画版→ディミトリと皇太后が話しているのをアナスタシアが聞いてしまう
宙組版→アナスタシアが直接皇太后から「どうせお金目当て」と聞いてしまう。

ここ今でもあまり分かってないんですけど、アナスタシアはお金が絡んでること知らなかったんですかね…。

また、映画版はアナスタシアがディミトリの計画に参加する際、

「もしアナスタシアじゃなくてもただの勘違いなんだから皇太后様は許してくれる」

と言っているため、計画に乗る=記憶を取り戻すため、と分かります。

宙組版にはこのセリフが無かったため、映画を見る前に宙組を見に行った私には、アナスタシアもパリに行きたいからディミトリたちの計画に乗った(=皇太后に嘘をつく計画というのを知っていた)と思っていたので、アナスタシアがディミトリに対して「裏切り者!!」と言った時、めちゃめちゃびっくりしました。

ざっとこんな感じですかね。

また配信やDVDで見た際に気づいたことがあれば追記します。

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おわりに

長くなりましたがいかがだったでしょうか?

あまり深く考えられていない部分もあるので、来月配信とDVDを見つつ再度考えられたらと思います!

まずは東京公演、何事もなく千秋楽まで駆け抜けられますように。

まどかちゃんの宙組ラスト公演が素敵なものになりますように。

それでは

おあとがよろしいようで。

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