ざっくり分かるミュージカルの歴史 vol.0-前史

ミュージカルの歴史

こんにちは。

観劇三昧OLです。

突然ですが、皆様はミュージカルの歴史についてご存知ですか??

1914年にドンブラコ初演で〜

って、それは宝塚です。

元々このブログを始めたのも、ミュージカルの基礎知識を分かりやすく楽しく伝えたい!

という思いからだったので、

いきなりですが ざっくり分かるミュージカルの歴史シリーズ始めます!

今回は前哨戦!

ミュージカルが今の形になる前に上演されていた、ミュージカルの源流を6つ紹介していきます。

え?6つもあるの??

人によっては、「オペラから派生して出来たものですよ~」と教わったかもしれません。

実はそれ、半分正解で半分間違っています。

ミュージカルは、オペラだけでなく、世界各国のあらゆる舞台芸術やショーの流れを汲みながら現在の形になりました。

今回はミュージカルの原型を作り上げた6つのジャンルについて見ていきましょう!

それでは、

レッツゴー!

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オペラ

(携帯だと字が小さいですね。許してください。)

1つ目は言わずと知れたオペラ
ミュージカルの前身はオペラ、と考える人も少なくありません。

オペラは16世紀終わり、フィレンツェで生まれた音楽劇とされています。


その後急速にヨーロッパ各地に広まり、18世紀にはフランスで「オペラ・コミック」と呼ばれる喜劇的オペラが誕生。地の部分にセリフが入るのが特徴です。


有名なオペラ「カルメン」も、元はこのオペラ・コミックの形式で上演されたそうですよ!

オペラ・コミックはその後発展したものの、次第に叙情的な作品も増え、19世紀中葉には、大きく2つのジャンルに分かれていきました。


喜劇的なものは「オペラ・ブッファ」、叙情的なものは「オペラ・リリック」と呼ばれるようになり、

オペラ・ブッファは「オペレッタ」に、

オペラ・リリックは「グランド・オペラ(バレエが加味され、オーケストラの編成・群衆の登場・舞台装置等が大規模なオペラ)」へと吸収されていきました。

※オペラというとイタリア・ドイツが有名ですが、次章以降のオペレッタに繋がるのはフランス・オペラとなります。

オペレッタ

オペラ・ブッファが転じて生まれたオペレッタの特徴は、歌い手が台詞や踊りも担うという点です。(オペラは基本歌手とダンサーに分かれている。)

内容も軽快でコミカルなものが多いです。

有名な作品に、宝塚歌劇でもミュージカルに翻案され上演したヨハン・シュトラウス二世の『こうもり』(1874年)、アーサー・サリヴァン&W・S・ギルバートの『ミカド The Mikado』(1885年)などがあります。

ミンストレル・ショー

※上記商品は現在販売しておりません。イメージ画像です。

ミンストレル・ショーはアメリカ独自のショーとして19世紀中葉に流行しました。

『パレード』の記事でも少し触れましたね。

白人が黒塗り(いわゆる「ブラックフェイス」)をして、歌・ダンス・ジョークなどを披露するショーで、黒人音楽も採り入れられていました。

今となってはタブーもタブーな香りのするショー。アメリカに住む黒人さんはどう見てたのかしら…。

スティーブン・フォスターが作曲した「草競馬」「オ―、スザンナ」などの曲が有名です

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バーレスク

こちらの映画の題名として「バーレスク」という単語を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。(私もその口です。)

元々のバーレスクはイギリス産で、お堅い演劇や文学をもじったパロディでした。

19世紀中頃からはアメリカで独自の発展を遂げ、イギリスのバーレスクのようなパロディではなく、代わりにセクシーな姿の女性が行う風刺的な喜劇となりました。

画像元:https://a-littledream.com/free-material-in-the-barlesque-show-antique-vintage/

次第に「セクシーな姿の女性」の部分だけ肥大化し、20世紀には女性の肉体美を楽しむ大人のショーと化しました。

ヴォードヴィル

16世紀フランスで始まり18世紀に大流行したヴォードヴィルは元々歌やダンスを組み込んだ風刺喜劇でした。

しかし、アメリカでは歌やダンスに加え手品や漫談などあらゆるジャンルの芸を行う、個人芸の集積のショーのことを指します。

構成としては以下のような例が挙げられます。

①アクロバットや動物芸
②歌う姉妹や踊る兄弟
③寸劇
④目先の変わった演し物
⑤スターによる見世物
⑥コーラスやオーケストラを従えたビッグなショー
⑦歌もしくは喜劇のスターによる十八番
⑧バンドなどによる締め

小山内伸『ミュージカル史』2016年、p19より引用。

ヴォードヴィルの父と呼ばれるトニー・パスターが1881年に手がけたショーが大ヒットし、以降1890年から1920年頃にかけて人気の大衆演芸として繁栄しました。

イギリスでは「ミュージックホール」(正確には施設を指す言葉なので演目名としては「ヴァラエティ」)と呼ばれています。

レヴュー

フランスで生まれたレヴューは、元々その年にあった出来事を回顧する風刺劇でした。

今も振り返って評価することを「レビュー」って言いますよね。Amazonとか食べログとか。

…そんなのは置いといて、

元は風刺劇だったものの、次第に歌・ダンス・コントなどを組み合わせ、豪華な装置や衣装で行うショーへと転じ、20世紀パリのレヴューは宝塚歌劇団にも大きな影響を与えました。

レヴューには全体を統べるコンセプトがあり、場面ごとに物語のような流れは無いもののある程度統一されたテーマがあるのが特徴で、ヴォードヴィルのような個人芸の集積のショーとは異なります。

現在も宝塚歌劇はレヴューを行っていますが、ビジュー、スイーツ、シルクロードなどあらゆるものをテーマにしていますね!

ミュージカルへ

以上のように、アメリカやイギリス、フランスで生まれた音楽劇・ショーの影響を受けてミュージカルは形成されました。

オペラやオペレッタのような音楽劇はあくまで「劇」なので全編を通して一貫した物語がありますが、ショーは場面ごとの面白さが重要です。

最初から最後まで一貫した物語」と「場面ごとの面白さ」という、一見相反する性質の舞台の流れを汲み、ミュージカルは形作られました。

物語を優先にするのか、物語の流れを中断してでも歌やダンスの場面(=ショーの部分)を優先にするのか。

これらを統一することはできないのか。

ミュージカルはこの後、物語と歌・ダンスの「統合」という問題に直面するのです。

つづく。

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おわりに

いかがでしたかーーー!

ずいぶんと端折って書きましたが、ここで「もっと知りたい!」と思ったそこのあなた。

沼にはまりましたね。

次回はミュージカルの「統合」をテーマに、初期のミュージカルの歴史を見ていこうかな~と思っています。

このシリーズに関しては不定期更新になるので、あいだに観劇レポが挟まるかと思いますが、長い目で見守っていただけると嬉しいです。

それでは、

おあとがよろしいようで。

参考文献

小山内伸『ミュージカル史』 中央公論新社、2016年

渡辺諒『フランス・ミュージカルへの招待』春風社、2013年

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